システム化計画、各種アプリケーション構築

統合生産管理システムの再構築を行った、製造業T社様の導入事例をご紹介いたします。

導入事例 T社様

課題

  • 国内複数工場に生産管理システムが別々に存在し、日々の業務運用を実施
  • システムの維持管理費用、全社共通のシステム変更要件に対してそれぞれ費用を投じて維持管理を実施
  • 工場ごとにハードウェア資産を複数台保有

ソリューション

  • 直近で構築された生産管理システム(IBM i)をベースに全工場の業務/システム要件を取り入れつつ全社標準化を実施(システム化計画、Fit&Gap)
  • 再構築に伴い、タブレット、ハンディターミナル等の周辺機器を標準化

導入効果

  • お客さま独自のノウハウを取り入れた運用しやすいシステムが完成した
  • 既存のプログラム資産を有効活用できたため、アプリケーション構築費用を抑制できた
  • 予算内で最新スペックのハードウェアへの集中化が実現し、バッチ処理時間の短縮化とハードウェアの保守費用の削減ができた
  • システム維持管理費用の削減
  • 基幹システムの理解者が拡大(各工場の情報システムメンバー、構築に参加したSIerメンバー)

背景

お客さまは国産メインフレーム上に構築された生産管理システムを使用していたが、プラットフォームにIBM社のAS/400(IBM i)を採用し、2000年に国内の最初の工場のシステムをIBM iで構築し本稼働後、順次、次の工場のシステムの構築を行い、最後の国内工場のシステムを2011年に本稼働させた。
2011年稼働工場の再構築の際は将来の全社システム統合を目指して、システム再構築プロジェクトを開始したが、システム構築の終盤で導入工場向けの独自要件を取り込んだシステムとなってしまったため、稼働後に予定していた横展開の計画は中止となった。
その後、数年が経過し、経営陣から統合システム再構築プロジェクトが指示され、IBM iは廃止し別プラットフォームで稼働するパッケージ製品を採用する方針となった。
複数候補の中からお客さま内で、ERPパッケージの選定を行い、Fit&Gapを実施したが、お客さまの生産活動の強みである機能に対して、機能上のGapが多数検出され、新たなインフラ、ハードウェアの導入費用とパッケージに対するアドオン開発費用を含めると、当初予算を大幅に超える費用となってしまった。
そのような状況の中で、お客さま担当者から既存システムを活用した再構築を再度スタートさせたいとのご相談があり、AS/400での再構築プロジェクトがスタートとなった。

使い慣れたIBM iの機能を中心に、製造ライン/物流部門にタブレット、携帯プリンターを新たに導入し現場業務の効率改善を実施

紙の作業指示書を廃止しタブレットで製造指示を行い、完成実績を登録

生産計画から日々の製造指示(差立て)を行い、結果を作業指示書(紙)に出力し、作業指示していた方式を現場のタブレット画面に順序生産指示を行う形に変更した。指示書の印刷コストの低減と同時に計画変更時(順序変更、数量変更)にタブレット上で計画変更を行う機能取り入れたため指示書の再出力等がなくなった。
また計画変更がリアルタイムに行われることにより生産実績の見える化(生産管理版)への情報精度が向上した。

現品票は設置プリンターから発行していたものを携帯プリンターでの発行に変更

以前は完成報告の都度、現品票を据置型プリンターから発行し完成品に添付していたが、広いラインの場合、プリンターの設置場所と現品完成場所が離れており、現品添付のタイムラグと現品票の貼り間違え(特に1個流し等の順序生産のケース)が発生していた。
改善後は、完成報告と同時に携帯プリンターに現品票が発行されるため貼り間違え等のミスがなくなった。

開発規模・開発機能

ハードウェア IBM PowerSystems
CPU POWER8 Processor
OS IBM i Ver7.2
開発言語 RPG/ILEおよび周辺機器制御言語

導入効果・今後の展望

使い慣れたIBM iの継続利用により運用コストの増加を阻止

当初のパッケージ導入計画ではアプリ、インフラ含めた全面刷新となっていたため、新たなIT運用スキルの習得コストや各種商用ライセンスの保守費用(パッケージ、DBMS等)の増加が見込まれたが、使い慣れたIBM iの継続利用により運用コストの増加を阻止できました。また最新のプラットフォームの集約化により実質運用コストの削減につながっています。

直近導入システム工場向けのログラム資産の利活用と最新IT機器の活用

直近導入工場のアプリケーション機能をベースとしているため、情報管理レベル(データベース)が自社内で1番高い仕組みを全社で利用可能な状態となりました。また再構築と言う大きなイベントのタイミングで最新IT機器の活用を行うことができ、業務の効率化につながっています。

今後はユーザーインターフェースの刷新に取り組み

統合システム化プロジェクトは当初導入期日までにサービスインすることが経営命題でありましたが、前述したパッケージ導入構想に時間を要したこともあり、再スタートしたプロジェクトにおける開発期間はあまり時間がありませんでした。そのような経緯から画面周りは一部タブレット化を除き、現行の5250ベースのユーザーインターフェースで実装する方針としました。
本稼働後にユーザーインターフェースを段階的に刷新する方針としています。
お客さまは別の利用目的でintra-martを導入済であったため、IBM iの活用モジュールを利用しユーザーインターフェースの近代化に取り組む展開で考えております。

お客さま情報

部品製造業(東証1部上場)

主に自動車メーカー向けの部品を製造・販売する製造業
国内外に生産拠点を持ち、製品メーカーの現地生産に供給対応

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