技術発表会:2024年9月20日開催レポート
ソリューション・ラボ・ジャパンでは、年に2回、社員が主体となって技術発表会を開催しています。この発表会では、システム開発事例や最新のテクノロジーに関する知識を共有し、全社的な技術力の向上を目指しています。
今回実施した発表会では、7チームが参加し、それぞれの技術やプロジェクトに関する発表を行いました。
各発表後には活発な質疑応答が行われ、予定時間を超えるほどの熱い議論が繰り広げられました。
参加者全員が多くの学びを得ることができ、非常に充実した内容となりました。引き続き社員一同、さらなる技術向上を目指して取り組んでまいります。
今後の発表会にもぜひご期待ください。
当日のプログラム
- 無断生成AIが抱える諸問題と著作権について知る
- intra-martにおけるテスト自動化への挑戦 ~Pythonの自動化ライブラリは生成AIより有益か~
- APPNとEE接続 ~z/OSの通信形態について~
- OSバージョンアップ対応におけるPHP技術習得について
- IBM i若手技術者コミュニティ活動報告
- LANSA開発報告
- ※機密保護等の観点から一部の発表内容は社外への公開を控えさせていただいております。ご了承ください。
発表内容
無断生成AIが抱える諸問題 および著作権について知る
生成AI・著作権の概要および現在確認されている諸問題について、文化庁をはじめとする省庁・団体の資料や国内外の新聞・ニュース・研究論文等の情報を元に、情報共有を行いました。
前提知識
- 生成AIは「考えていない」(某企業CEO・某大学教授の発言などから)
- 生成AIは特化型AIの1つであり、他のAI技術(画像認識や自動運転等)とは別物である
生成AIが抱える諸問題について
- データセット著作権・肖像権侵害
- 生成AIと著作権の解釈(著作権とは/第30条の4/「享受」の定義/侵害の要件)
- 搾取構造とモデル崩壊問題
- 環境問題(電力・水力の消費量と二酸化炭素排出量の増加)
- ディープフェイクの大衆化
- 悪影響(セキュリティリスク、利用企業の信用低下、人材育成への影響、ハルシネーション)
- 国内外の最新動向(海外は既に規制の動き、AIAct・国際条約の概要等)
生成AIの構造上避けられないこれらの問題を理解せずに利用してしまうと、他者の権利を意図せず侵害してしまったり将来的に法的責任を問われるリスクがあると説明しました。
また、生成AIを悪用しない・されない為に必要な行動として、以下を挙げました。
- 著作権法で定められた「享受目的」でない(併存しない)形での利用に留める
(生成したコンテンツをインターネット上にアップロードしたり、特に社外向けの広報物や納品物に使用したりしないこと) - robots.txt等でデータを保護する
- 各省庁の取りまとめ資料等を自分の目で確認し、問題点を理解する 等
最後に、今回説明した諸問題は生成AIに限られた話であること、今後の法整備によって人間の権利が守られ、真に人の役に立つAI技術が発展するように願うと述べ、発表を締めくくりました。
intra-martにおけるテスト自動化への挑戦 ~Pythonの自動化ライブラリは生成AIより有益か~
第3サービス事業部 S.H 入社2年目 20代 エンジニア
生成AIの導入が急がれる昨今、導入時に様々な問題やリスクが生じているのではないでしょうか?個人単位では役に立つけれど会社全体の利益を考えると軽率には取り入れられない、そんな悩みを解決すべく、Pythonの自動化ライブラリに着目しました。
今回行ったのは実業務に近いごく一部のテスト及びエビデンス取得・資料ドキュメントの作成です。一般的なテストにおける所要時間やヒューマンエラーというのは、熟練度に
よっても様々ですが、総じて集中力の途切れた際に起こりうると考えられます。
今回のテストは手作業で行うと2~3時間を要するものですが、Pythonの自動化ライブラリを使うことで、わずか1分足らずで作業が完了しました。自動化の場合、集中力の低下によるヒューマンエラーや熟練度は関係ないため、正確性や一定の速度を保つことが期待できます。
また、今回はこのような自動化システムをPython環境を持たない第三者にも使っていただくために、exe化(実行ファイル化)を行いました。
今後の課題として挙げられるのは、自動化システムの汎用化(別のテストケースに対応)、仕様書の読み込みによる自動化の実現、ナレッジの共有、そしてこれまで研究を行ってきた機械学習や画像処理といったものと自動化が掛け合わせられるのか、検証の余地があります。
次回の技術発表会に向けて、これらの課題と向き合うとともに、実業務で活かせることを第一に励んで参ります。
APPNとEE接続 ~z/OSの通信形態について~
第2サービス事業部 M.K 入社12年目 50代 エンジニア
メインフレームの接続形態について / EE(Enterprise Extender)について
従来メインフレームの通信はSNA通信が主であったが、インターネットが普及した今、SNAはレガシーな通信プロトコルである。
しかしながら、SNAを使用したアプリケーションは多数あり、SNAからTCPIPへと変更するにはアプリケーションプログラムに大幅な改修が発生する。
そのため、EEと呼ばれる手法を使用することにより、アプリケーションの改修をすることなく継続してSNA通信を行うことが可能となる。
EEはSNAデータをIPでカプセル化して通信を行う。このSNAデータをカプセル化する方法は、EEの他にDLSwと呼ばれるサーバーを使用する手法もある。ただし、これにはネットワークの
変更が必要であり、その点EEではネットワークの変更なしに、対応が可能である。
EEの冗長化は、基本的にIPルーティングによる迂回で確保する。
APPN(Advanced Peer to Peer Networking)について
APPNでは、従来のSSCPすなわちメインフレームを介在せずにネットワークを構築でき、従来のSSCPの果たしていた制御機能は各ノードの制御点に分散する。また、制御点間の通信には、LU6.2を使用するCP-CPセッションを用いる。
APPNの活用
従来、各企業間で通信を行う場合には、通信制御装置(CCU)介したネットワークが必須であった。
しかしながら、インターネットが普及した現代においては、SNAは使用されなくなり、その通信機器であった通信制御装置も廃止となった。そのため、企業間での通信を継続する場合、APPN化を行い、ビジネスを継続することが可能である。
OSバージョンアップ対応におけるPHP技術習得について
第1サービス事業部 入社5年目 T.H 20代 エンジニア/N.A 40代 エンジニア
発表者N.AとT.HはSLJで保守・開発を行っているWebシステムのOS変更に伴い、Webアプリケーションの開発を受注しました。
システム構成およびアプリケーションの機能仕様は現行を踏襲することから、若手エンジニアのスキルアップ・開発経験を積み上げる場として活用することとし、PJの概要と、現場経験で得た内容を以下3点を中心に発表いたしました。
- WebシステムのOS変更にあたっての概要
- 技術面でのポイント
- 今回の開発における実施内容と注意点
今回はお客様が使用しているOSのサポート終了のアナウンスがあり、お客様と検討後にサポートが有効なOSへの移行を行うことになりました。
アプリケーションの開発環境も社内で実績のあるフレームワークLaravelを使用することとしました。
技術面のポイントしては下記を発表いたしました。
- 他案件でも利用しているLaravelのスキルを蓄積、共通的なスキルとする。
- 複数の案件でメンバの共有化・効率化をはかる。
- 長年蓄積した不要コード、冗長コードを最適化することで保守作業の効率化を図る。
今回の開発における若手エンジニアより、
- この開発実施前の技術習得のために実施したこと
- 開発実施時において注意した点や今回の開発においての決まり事など
を発表しました。
最後に今後、開発プロジェクトに携わるにあたっての大事にしたい点を述べ、発表を終えました。
IBM i若手技術者コミュニティ活動報告
ビジネスソリューション事業部 D.I 入社3年目 20代 エンジニア
1. 活動の目的と内容
活動の目的は大きく2つあります。
1つ目の目的は「最新テクノロジーの学習ネットワーキングの構築」です。活動を通じてIBM iの基礎の振り返りからFFRPG、OSS(オープンソースソフトウェア)、自動化、コンテナ、IoTなどのIBM iエコシステムでの最新技術トレンドを学び合います。これにより若手エンジニアは業界最先端スキルを習得し自身のキャリアパスを広げることが可能となります。
2つ目の目的は「ネットワーキングの構築」です。コミュニティ内での定期的なイベントやワークショップを通じてメンバー同士が繋がり、ネットワークを構築し互いの成長を支援します。
活動の内容は6人程度で1グループを組み、グループ内で相談し決めた1個のテーマについてメンバーで深掘りの後、最終的に発表を行います。
2. チームの活動に関するご報告
私が所属するチームは『初心者による初心者に向けた「RPG Ⅲ」と「ILE RPG」』というテーマで活動しています。
テーマ決定までの経緯としてはRPGの勉強を各々で行い、チーム内で以下のような意見が出たからです。
- ネット上にRPG ⅢとILE RPGをともに取り上げた資料が少ない!
- 研修はILE RPGで行ったのに、業務ではRPG Ⅲのソースを読まなければいけない!
- RPG ⅢとILE RPGのソースコード記載の画面を対比している資料がない!
以上の経緯から、RPG ⅢとILE RPGの相違点が課題であると考えたため、「RPG ⅢとILE RPGの違いを分かりやすくまとめたQiitaの資料の作成」をチームの題材としました。
具体的な内容としては「RPG ⅢとILE RPGのファイル名の桁数の違い」、「日付、時刻の計算方法の違い」、「演算命令の違い」などを含めます。
研究方法は、以下の順に行います。
- 「仕様書を作成し同一の動きをするRPG ⅢとILE RPGのシステムを作成」
- 「RPG ⅢとILE RPGのソースコードの対比を行う」
- 「Qiitaに画像として載せて資料とする」
3. 自身の活動に関するご報告
チームテーマに対して自分が課題と感じる部分に対してどのようにアプローチするべきかを考え、実行しました。
ネット上にRPGに関する情報が少ない点に関しては演算命令・コマンドの機能等を確認可能な資料が存在すると良いと考え、作成を実施しました。RPG Ⅲ、ILE RPGを比較した情報が少ないという点に関しては同一の動きをするRPGⅢとILE RPGのシステムを作成するために仕様書の作成を実施しました。
以上を含めて、自身が手掛けた内容は以下になります。
- 演算命令一覧表の作成
- コマンド一覧表の作成
- 仕様書一覧表の作成(制御仕様書、ファイル仕様書、入力仕様書、演算仕様書、出力仕様書)
- 設計書の作成
- プログラム開発作業
今後は、開発したプログラムを基にQiita資料の作成及び最終発表に向けての準備を行っていきます。
4. この活動を通じて得たもの
一覧表の作成を通じて改めて演算命令等について改めて理解を深めることができました。
この経験は作成した一覧表及び作成を通じて得た知識をRPGを用いた開発業務の効率化に大いに活かしていきたいと考えます。
設計書の作成を通じて画面設計及び処理内容について考えることで設計書を書く上で考慮すべきことをある程度認識することができました。今後のプログラム開発においては設計者の目線を意識して臨みたいと考えます。また、今後設計を行う機会が訪れた際には今回の経験を活かしていきたいです。
意見交換や提案を通じてチームメンバーとの円滑なコミュニケーションを図ることの大切さを学ぶことができました。この経験は自身が参画するプロジェクトにおける会議や開発メンバーでの議論時に活かしていきたいと考えます。
一覧表等の資料、設計書作成、プログラム開発等を通じてチームの生産性向上にある程度貢献することができました。自分ができることを発見して積極的に取り組み、参画するプロジェクトの生産性向上に貢献できるよう精一杯努めていきたいです。
LANSA開発報告
第1サービス事業部 K.S 入社10年目 40代 PO
LANSA開発(VL-web)をSLJがプライムでプロジェクトがスタートしたのが2019年で約5年の月日が経ちました。
当初はLANSAジャパン様に、強力なサポートをいただきながら、開発手法はもちろん、設計書、テスト検証、デザイン、レスポンス等課題は山のようにありましたが、プロジェクトを通じてナレッジが溜まり、またお客様にもご支援アドバイスをいただき事例も増え、おかげ様で今日まで引き合いも多く頂いている状況でございます。
当初はPHP、javaからのLANSA化案件が中心でしたが、現在はRPGⅢを解析してビジネスロジックはRPGLE、FFRPG画面がLANSAという案件が中心です。
なので今後はLANSAの技術者だけでなく現行解析も含めて最新のRPGに精通している技術者の力も必須なプロジェクトが多くなります。
そのためにはFFRPG、SQLRPGといったRPGⅢから脱却する取り組みが、ますます必要と感じており、LANSAとは別のメンバーと推進していく予定です。
またSLJの内部のメンバーだけでなく、いろいろなオープン系開発の技術をお持ちのパートナー様にもご協力いただいております。
単純に案件で技術者を提供いただくのではなくパートナー様のこれまでのオープン系開発のご意見も取り入れつつLANSA開発がお客様の満足度の高いシステムの提供となれるように取り組みしたいと思っております。
技術発表会を終えた社員の声
1. 無断生成AIが抱える諸問題 および著作権について知る
発表後、複数の方からご質問をいただき興味・関心を持っていただけたことを嬉しく思います。
兼ねてよりSLJでは、四半期会議や毎月のセキュリティチェックなどで生成AIの使い方について注意喚起が行われておりました。
今回ご説明させていただいた事例・資料などから、生成AI利用者の方はもちろん、触れたことのない方にも具体的に何が問題なのか・何に気を付ければ良いのかを理解する助けとなれましたら幸いです。
2. intra-martにおけるテスト自動化への挑戦
技術発表会への参加は今回が2回目ですが、内容よりも伝わりやすさ、わかりやすさが成長した点であると感じています。
周りの先輩方に幾度と助けられながら検証・発表準備に取り組み、発表の直前まで資料の修正を行っていました。その甲斐もあり、前回よりもスムーズで理解しやすい発表になったのではないかと感じています。
引き続き、自動化検証を進め少しでも皆様の業務効率化に貢献できるよう努めて参ります。
第3サービス事業部
S.H 入社3年目 20代 エンジニア
3. APPNとEE接続 ~z/OSの通信形態について~
緊張しました(笑)
ネットワークに特化した内容でしたが、メインフレームを知って頂く機会になれば幸いです。
第2サービス事業部
M.K 入社12年目 50代 エンジニア
4. OSバージョンアップ対応におけるPHP技術習得について
今回、初参加となりました。PHPとフレームワークの技術習得の中で、開発者として作るだけでなく、今後の保守の観点を考えることもいかに重要になってくるのかを身をもって知ることができました。
今回は時間の都合上、発表の内容は少なくなりましたが、機会がありましたら改めて参加させていただきたいと考えています。
第1サービス事業部
入社5年目 T.H 20代 エンジニア
N.A 40代 エンジニア
5. IBM i若手技術者コミュニティ活動報告
今回の発表を通じて、IBM i若手技術者コミュニティの活動について振り返り及び今後の進め方について再考することができました。
また、発表に向けた資料の作成や発表内容の検討を通じて伝わりやすい発表について考えることができました。
活動を通じて得られた知識や経験を今後に活かしていくとともに、今後発表する機会が訪れた際にはより伝わりやすい発表を心掛けたいと考えます。
ビジネスソリューション事業部
D.I 入社3年目 20代 エンジニア
6. LANSA開発報告
これまで運営する役回りの方が多かったのですが今回久々に発表の機会を頂きました。前回一人で発表したのとは違い、若いメンバーにも自身のプロジェクトの振り返りの意味合いもこめて資料作成、発表を支援していただきました。
LANSAに関して、関係者以外具体的な画面の紹介の機会がなかったのでこれまで画面を見たことない方へはいい機会になったかと思います。是非、5250画面の将来性でお悩みのユーザー様への一つのヒントとなればと願っています。
第1サービス事業部
K.S 入社10年目 40代 PO